「夜中に肩が痛くて眠れない」「腕が上がらなくて困っている」そんなあなたは五十肩かもしれません。
このページでは、五十肩の初期・中期・後期の症状を詳しく解説し、各段階の特徴的な痛みや動きの制限について分かりやすく説明します。
さらに、五十肩の症状チェックリストを使って、ご自身の状態をセルフチェックすることも可能です。
五十肩は自然治癒することもありますが、適切な治療を行うことで早期回復が期待できます。この記事を読むことで、五十肩の進行度合いを理解し、適切な対処法を知ることができます。
また、五十肩に似た他の病気との違いについても解説しているので、ご自身の症状が五十肩によるものなのか、他の病気が原因なのかを判断する材料として役立ちます。
五十肩の症状に悩んでいる方、五十肩について詳しく知りたい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
1. 五十肩とは?
五十肩は、中高年の方に多く発症する肩関節の痛みや運動制限を特徴とする疾患です。正式名称は肩関節周囲炎です。
加齢に伴う肩関節周囲の組織の炎症や変化が原因と考えられていますが、明確な原因は特定されていない場合も多くあります。
肩関節周囲の筋肉や腱、靭帯、関節包などが炎症を起こし、痛みや動きの制限を引き起こします。
1.1 五十肩の正式名称や原因について
五十肩の正式名称は肩関節周囲炎です。その名の通り、肩関節周囲の組織に炎症が起こることで様々な症状が現れます。
原因ははっきりと特定されていないケースも多いですが、加齢による肩関節周囲の組織の変性や、血行不良、肩関節の使い過ぎや外傷、糖尿病、甲状腺疾患などの基礎疾患が影響していると考えられています。
また、ストレスや睡眠不足なども発症の要因となる可能性が指摘されています。
原因の分類 | 具体的な原因 |
加齢性変化 | 肩関節周囲の組織の老化、柔軟性の低下 |
血行不良 | 肩関節周囲への血流不足、冷え性 |
外傷 | 転倒や打撲などによる肩関節への直接的な損傷 |
使い過ぎ | 野球やバレーボールなどのスポーツ、重いものを持ち上げる作業などによる肩関節への負担 |
基礎疾患 | 糖尿病、甲状腺疾患、高血圧など |
生活習慣 | ストレス、睡眠不足、運動不足、喫煙など |
1.2 五十肩になりやすい人の特徴
五十肩は、40歳代から50歳代に多く発症することから「五十肩」と呼ばれていますが、30代や60代以降に発症することもあります。
特に女性は男性に比べて発症率が高い傾向にあります。また、デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けたり、猫背気味の方、運動不足の方なども五十肩になりやすいと言われています。
さらに、過去に肩を脱臼したり骨折した経験がある方も、五十肩を発症するリスクが高くなります。
なりやすい人の特徴 | 詳細 |
年齢 | 40代~50代に好発 |
性別 | 女性に多い |
姿勢 | 猫背、長時間同じ姿勢での作業 |
運動習慣 | 運動不足、過度な運動 |
既往歴 | 肩の脱臼、骨折、腱板断裂など |
その他 | 遺伝的要因、精神的ストレス |
2. 五十肩の初期症状
五十肩の初期症状は、肩の痛みや動きの制限が徐々に現れ始めます。この時期の特徴は、夜間痛や特定の動作での痛み、そして肩の可動域の制限です。
これらの症状は、日常生活に支障をきたすほどではない場合もありますが、放置すると中期、後期へと進行し、より深刻な状態になる可能性があります。
早期発見、早期治療が重要です。
2.1 安静時にも痛みを感じる夜間痛
五十肩の初期症状で最も特徴的なのが夜間痛です。
特に就寝時や明け方に痛みが強くなり、睡眠を妨げることもあります。これは、炎症が起きている肩関節が、寝ている間に圧迫されることで痛みが増幅するためと考えられています。
また、日中は活動によって気が紛れている痛みも、夜間は静かになるため強く感じる傾向があります。痛みで目が覚めてしまう、寝返りを打つのが辛いといった場合は、五十肩の初期症状の可能性が高いと言えるでしょう。
鎮痛剤を服用しても痛みが治まらない場合は、医療機関への受診を検討しましょう。
2.2 特定の動作で痛みが走る
五十肩の初期には、特定の動作で肩に痛みが走ることがあります。
例えば、腕を上げる、後ろに手を回す、服を着る、髪を洗うといった動作で痛みを感じることが多いです。
これらの動作は、肩関節の可動域を大きく使うため、炎症を起こしている肩関節に負担がかかり、痛みを引き起こします。
また、重いものを持ち上げる、急に腕を引っ張られるといった動作でも痛みが生じることがあります。初期段階では、まだ痛みの程度は軽い場合が多いですが、放置すると悪化する可能性があるため注意が必要です。
動作 | 痛みの特徴 |
腕を上げる | 真上に腕を伸ばす、または横に上げる際に肩に痛みを感じる |
後ろに手を回す | 背中に手を回す、例えばズボンの後ろポケットに手を入れる際に痛みを感じる |
服を着る | シャツを着る、コートを着るなど、腕を動かす際に肩に痛みを感じる |
髪を洗う | 腕を上げて髪を洗う際に肩に痛みを感じる |
重いものを持ち上げる | 買い物袋を持つ、洗濯物を持つなど、重いものを持ち上げる際に肩に痛みを感じる |
2.3 肩の動きが制限される
五十肩の初期には、肩の動きが制限されるようになります。
これは、肩関節の炎症によって関節包が厚くなり、動きにくくなるためです。まだ完全に動かせなくなるわけではありませんが、以前と比べて動きが悪くなったと感じるはずです。
また、痛みを避けるために無意識に肩を動かさなくなることも、動きの制限につながります。
2.3.1 腕が上がらない
五十肩の初期症状として、腕が上がりにくくなることがあります。これは、肩関節の炎症や痛みにより、腕をスムーズに動かすことができなくなるためです。
洗濯物を干す、高いところにある物を取るといった動作が困難になることがあります。
また、腕を上げる際に痛みを伴うため、無意識に腕を上げることを避けるようになり、さらに肩の可動域が狭くなるという悪循環に陥る可能性があります。
2.3.2 後ろに手が回らない
五十肩になると、肩甲骨の動きが悪くなり、後ろに手が回しにくくなります。背中に手が届かない、ブラジャーのホックを外すのが難しい、ズボンの後ろポケットに手を入れるのが困難といった症状が現れます。
これらの動作は日常生活で頻繁に行うため、支障が出ると大きなストレスを感じることがあります。
また、肩を無理に動かそうとすると痛みが増すため、注意が必要です。
3. 五十肩の中期症状
五十肩の中期は、炎症がさらに広がり、痛みが増強する時期です。日常生活にも大きな支障が出始めるため、この時期に適切な治療を開始することが重要です。この時期の特徴は、安静時痛だけでなく、動作時痛も激しくなることです。
腕を動かそうとすると鋭い痛みが走り、夜も痛みで目が覚めてしまうほどの夜間痛に悩まされることもあります。
また、肩の可動域制限も顕著になり、腕を上げることや後ろに回すことが困難になります。これらの症状は、日常生活の様々な場面で支障をきたし、QOL(生活の質)を低下させます。
3.1 痛みの範囲が広がる
初期段階では、肩関節周囲の局所的な痛みだったものが、中期になると上腕や前腕、背中にまで痛みが広がることがあります。
これは、炎症が周囲の筋肉や組織にまで及んでいることを示唆しています。また、痛みの種類も変化し、鋭い痛みだけでなく、鈍い痛みやしびれを感じることもあります。
特に、夜間は痛みが悪化し、睡眠不足に陥る方も少なくありません。
このような痛みの広がりは、日常生活での活動性をさらに制限し、精神的なストレスも増大させます。
3.2 日常生活に支障が出る
五十肩の中期症状では、痛みの増強と可動域制限により、日常生活に様々な支障が出てきます。
例えば、着替えや髪を洗う、入浴するといった動作が困難になります。また、高い場所に手が届かなくなったり、重いものを持ち上げることができなくなったりするなど、日常生活動作の制限は多岐にわたります。
具体的には、次のような動作が困難になります。
3.2.1 着替えが困難になる
シャツを着たり、ブラジャーのホックを留めたりする動作が困難になります。
特に、腕を後ろに回す動作が必要なため、着替えに時間がかかったり、痛みで着替えができなくなったりすることもあります。
また、コートやジャケットを着る際にも、腕が上がらないため苦労する方が多いです。このような着替えの困難さは、日常生活での自立性を損ない、精神的な負担も増大させます。
3.2.2 髪を洗うのが難しい
腕を上げて髪を洗う動作は、五十肩の中期症状では非常に困難になります。
痛みで腕を上げることができず、髪を洗うことができなくなる方もいます。
また、シャンプーボトルを押す動作も痛みを伴うため、入浴自体が億劫になることもあります。
このような状況は、清潔を保つことにも支障をきたし、日常生活の質を大きく低下させます。
動作 | 困難な点 |
寝返り | 肩に負担がかかり、痛みで目が覚める |
運転 | ハンドル操作やバックミラーの確認が難しい |
食事 | 箸やフォークを使う、お茶碗を持つのが困難 |
トイレ | トイレットペーパーを使う、ズボンの上げ下ろしが困難 |
鞄を持つ | 肩にかけたり、手で持ったりするのが困難 |
洗濯物を干す | 腕を上げて洗濯物を干すのが困難 |
窓拭き | 腕を上げて窓を拭くのが困難 |
これらの困難は、日常生活の質を著しく低下させるため、五十肩の症状に気づいたら早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
適切な治療とセルフケアによって、症状の悪化を防ぎ、日常生活の質を維持することが可能です。
4. 五十肩の後期症状
五十肩の後期は、急性期のような激しい痛みは落ち着いてくるものの、肩関節の拘縮が進行し、関節可動域の制限が顕著になります。
この期間は「凍結期」とも呼ばれ、日常生活における様々な動作に支障をきたす可能性があります。適切なリハビリテーションや日常生活での工夫によって、肩関節の機能回復を目指していくことが重要です。
4.1 痛みは軽減するが、肩関節の拘縮が進行する
後期になると、炎症が治まり痛みが軽減されます。
しかし、同時に肩関節周囲の組織が硬くなり、関節が動きにくくなる拘縮が始まります。
この状態では、無理に動かそうとすると軽い痛みや違和感を感じることもあります。拘縮の進行を防ぎ、可動域を回復させるためには、適切なリハビリテーションが不可欠です。
4.2 関節可動域制限が顕著になる
五十肩の後期では、肩関節の動きが制限され、日常生活に大きな影響が出ます。具体的には以下のような動作が困難になります。
4.2.1 腕が上がらない、後ろに回らない状態が続く
腕を真上に上げる動作や、背中に手を回す動作が困難になります。洋服の着脱や髪を洗う、高いところの物を取るといった日常動作に支障が出ます。
また、就寝時に患側を下にして寝ることが難しく、睡眠の質が低下する可能性もあります。
夜間痛は軽減されるものの、寝返りが打ちづらいため、睡眠不足に陥るケースも見られます。
4.2.2 日常生活での動作が制限される
五十肩の後期における日常生活での制限について、具体的な例を以下の表にまとめました。
動作 | 具体的な支障 |
着替え | シャツやブラジャーの着脱が困難になる。特に、後ろに手を回す動作が必要な服は着づらくなります。 |
髪の手入れ | 髪を洗う、髪を乾かす、髪をとかす、髪を結ぶといった動作が難しくなります。 |
トイレ | トイレットペーパーの使用や、ズボンの上げ下ろしが難しくなる場合があります。 |
入浴 | 体を洗う、シャンプーをする、浴槽に出入りするといった動作が困難になります。 |
食事 | 箸やフォークを使う、食器を洗うといった動作に支障が出ます。特に、高い位置にある食器を取るのが難しくなります。 |
運転 | ハンドル操作やバックミラーの確認、シートベルトの着用が難しくなる場合があります。 |
仕事 | パソコン作業、書類整理、電話応対など、腕や肩を使う作業に支障が出ます。特に、長時間同じ姿勢での作業は困難になります。 |
睡眠 | 寝返りが打ちづらいため、睡眠の質が低下する可能性があります。また、患側を下にして寝ることが難しくなります。 |
運動 | スポーツやレジャー活動など、腕や肩を使う運動が制限されます。 |
これらの制限は、日常生活の質を大きく低下させる可能性があります。
日常生活動作の制限によって精神的なストレスを感じやすくなる場合もあるので、治療家や理学療法士と相談しながら、適切なリハビリテーションや日常生活での工夫を行い、改善を目指していくことが大切です。
また、家族や周囲の理解と協力も重要です。
5. 五十肩の症状チェックリスト
五十肩の進行度合いによって症状は変化します。以下のチェックリストで現在の状態を確認し、適切な対処を行いましょう。
5.1 初期症状チェックリスト
初期症状は痛みを感じ始め、徐々に肩の動きが悪くなる時期です。夜間痛や特定の動作での痛みなどが特徴です。
症状 | チェック |
安静時、特に夜間に肩が痛む | □ |
腕を特定の方向に動かすと痛みが走る | □ |
髪を洗う、服を着るなどの動作で肩に痛みを感じる | □ |
肩の関節が硬く感じ、動きが悪い | □ |
腕を上げるときに痛みがあり、完全に上げられない | □ |
腕を後ろに回すのが難しい、または痛みがある | □ |
肩の痛みで目が覚めることがある | □ |
5.2 中期症状チェックリスト
中期症状は痛みが強くなり、日常生活にも支障が出始める時期です。肩の可動域制限も顕著になります。
症状 | チェック |
痛みが肩だけでなく、腕や首にも広がっている | □ |
夜間だけでなく、日中でも強い痛みを感じる | □ |
着替えや洗顔、歯磨きなどの日常生活動作が困難 | □ |
肩を動かさなくても痛みがある | □ |
腕を全く上げられない、または後ろに回せない | □ |
痛みによって睡眠不足になっている | □ |
肩の周りの筋肉が萎縮してきたように感じる | □ |
5.3 後期症状チェックリスト
後期症状は痛みは軽減してきますが、肩関節の拘縮が進行し、可動域制限が固定化してしまう時期です。適切なリハビリテーションが重要になります。
症状 | チェック |
強い痛みは軽減したが、肩の動きの悪さが残っている | □ |
肩関節が硬くなっており、可動域が狭い | □ |
腕を上げたり、後ろに回したりする動作が制限されている | □ |
日常生活動作で不便を感じる(例:高い所の物が取れない、エプロンの紐を結べないなど) | □ |
肩の筋肉が硬くなっている | □ |
肩に違和感や鈍痛が残る場合がある | □ |
肩の可動域制限により、スポーツや趣味に支障が出ている(例:テニス、ゴルフ、水泳など) | □ |
これらのチェックリストは自己診断のためのものです。五十肩の疑いがある場合は、必ず医療機関を受診し、治療家の診断を受けてください。
自己判断で治療を行うと、症状が悪化したり、回復が遅れたりする可能性があります。
6. 五十肩の症状に似た病気
五十肩は他の病気と症状が似ている場合があり、自己判断で五十肩と決めつけずに、医療機関を受診して正しい診断を受けることが重要です。
五十肩と間違えやすい病気には、以下のようなものがあります。
6.1 頸椎症
頸椎症は、加齢とともに頸椎(首の骨)が変形したり、椎間板が変性したりすることで、神経や血管が圧迫されて肩や腕に痛みやしびれが生じる病気です。
五十肩と同じように肩の痛みや運動制限が起こりますが、頸椎症の場合は首の痛みやしびれ、手のしびれなども伴うことがあります。
神経症状の有無が鑑別のポイントとなります。
6.1.1 頸椎症の症状
- 首の痛み
- 肩や腕の痛みやしびれ
- 手のしびれや麻痺
- めまい
- ふらつき
6.2 腱板断裂
腱板断裂は、肩関節を安定させる役割を持つ腱板(4つの筋肉の腱)が断裂する病気です。
断裂の程度によって症状は異なりますが、肩の痛みや運動制限、腕を上げるときに力が入らない、夜間痛などがみられます。
五十肩と同様に腕が上がらないなどの症状が現れますが、腱板断裂の場合は、特定の角度で強い痛みを感じることがあります。また、外傷がきっかけで発症することもあります。
6.2.1 腱板断裂の症状
- 肩の痛み(特に夜間)
- 腕の挙上困難
- 肩の脱力感
- クリック音
6.3 胸郭出口症候群
胸郭出口症候群は、鎖骨や肋骨の間にある胸郭出口という狭い部分で、神経や血管が圧迫されて肩や腕、手に痛みやしびれ、冷感などが生じる病気です。
五十肩と同様に肩や腕の痛み、運動制限が起こることがありますが、胸郭出口症候群の場合は、手のしびれや冷感、手の色の変化なども伴うことがあります。
また、特定の姿勢(例えば、腕を上げる、重いものを持ち上げるなど)で症状が悪化することが特徴です。
6.3.1 胸郭出口症候群の症状
- 肩や腕、手の痛みやしびれ
- 手の冷感
- 手の色の変化(蒼白、チアノーゼ)
- 腕や手の脱力感
- 脈拍の減弱
6.4 その他の病気
上記以外にも、肩関節周囲炎、石灰沈着性腱板炎、リウマチ、変形性肩関節症なども五十肩と似た症状を引き起こすことがあります。
それぞれの病気の特徴を理解し、鑑別することが重要です。
病気 | 主な症状 | 五十肩との違い |
肩関節周囲炎 | 肩の痛み、運動制限 | 五十肩とほぼ同じ症状だが、原因が特定できる場合がある(例:外傷、炎症など) |
石灰沈着性腱板炎 | 強い肩の痛み、夜間痛 | 急激な激痛が特徴。レントゲンで石灰化を確認できる。 |
リウマチ | 関節の痛み、腫れ、こわばり | 複数の関節に症状が現れることが多い。朝のこわばりが強い。 |
変形性肩関節症 | 肩の痛み、運動制限、関節の変形 | 加齢による関節の変形が原因。レントゲンで骨棘(こつきょく)を確認できる。 |
これらの情報は一般的なものであり、自己診断は危険です。肩に痛みや違和感を感じたら、医療機関を受診し、専門医の診断を受けるようにしましょう。
7. 五十肩と診断されたら?
五十肩と診断されたら、まずは焦らず、適切な治療とケアを受けることが重要です。
自己判断で症状を悪化させないためにも、医療機関を受診し、専門家の指示に従いましょう。
7.1 医療機関への受診
五十肩の診断は、問診、視診、触診、そして画像検査(レントゲン、MRIなど)によって行われます。
五十肩の治療は、整形外科で受けることができます。
7.1.1 整形外科を受診
整形外科では、肩関節の専門医が症状や痛みの程度、可動域などを詳しく調べ、適切な治療方針を決定します。
他の疾患の可能性も考慮し、鑑別診断を行うため、安心して相談できます。受診の際は、いつから痛み始めたか、どのような時に痛みが増すかなど、症状を具体的に伝えるようにしましょう。
また、市販の鎮痛剤を服用している場合は、その種類や服用量も治療家に伝えましょう。
近くの整形外科を探すには、インターネットの医療機関検索サイトや、自治体のホームページなどを活用すると便利です。
口コミなども参考にすることができます。また、かかりつけ医がいる場合は、紹介状を書いてもらうとスムーズです。
7.2 適切な治療を受ける
五十肩の治療法は、痛みの程度や症状の進行具合によって異なります。
一般的には、保存療法が中心となりますが、症状が重い場合や保存療法で効果が見られない場合は、手術療法が検討されることもあります。
治療法 | 内容 | 効果 |
薬物療法 | 痛みや炎症を抑えるために、鎮痛剤、消炎鎮痛剤、湿布などが処方されます。 | 痛みを軽減し、炎症を抑える効果があります。 |
リハビリテーション | 肩関節の可動域を改善し、筋力をつけるための運動療法を行います。理学療法士の指導のもと、ストレッチ、筋力トレーニング、関節モビライゼーションなどを行います。 | 肩関節の動きをスムーズにし、日常生活動作の改善を促します。 |
注射療法 | 炎症や痛みを抑えるために、ステロイド注射やヒアルロン酸注射を行う場合があります。 | 炎症や痛みを軽減し、肩関節の動きを改善する効果が期待できます。 |
手術療法 | 保存療法で効果がない場合や、肩関節の拘縮が severe な場合に、関節鏡手術や人工関節置換術などが行われることがあります。 | 肩関節の可動域制限を改善し、痛みを軽減することを目指します。 |
これらの治療法は、単独で行われる場合もあれば、組み合わせて行われる場合もあります。
治療家とよく相談し、自分に合った治療法を選択することが大切です。治療期間は個人差がありますが、一般的には数ヶ月から1年以上かかることもあります。根気強く治療を続けることが重要です。
また、日常生活においても、無理な動作を避け、適切な姿勢を保つように心がけましょう。
痛みがあるときは、安静にすることも大切です。セルフケアとして、温熱療法や冷却療法なども効果的です。治療家や理学療法士に相談し、適切な方法で行いましょう。
8. 五十肩の対処法
五十肩の痛みや動きの制限を和らげるためには、適切な対処法を実践することが重要です。
五十肩の対処法は、痛みを軽減するための方法と、肩の動きを改善するための方法に大別されます。
自己判断で無理な運動を行うと症状が悪化することもありますので、医療機関の指示に従いながら行うようにしましょう。
8.1 痛みを和らげる方法
五十肩の痛みを和らげる方法として、温熱療法と冷却療法があります。痛みの程度や時期によって使い分けることが効果的です。
8.1.1 温熱療法
温熱療法は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。入浴や蒸しタオルなどで肩を温めることで、痛みが緩和されることがあります。
- 入浴:40℃程度のぬるめのお湯に15~20分程度浸かりましょう。全身浴で血行を促進することで、肩の痛みも和らぎます。
- 蒸しタオル:濡らしたタオルを電子レンジで温め、肩に当てます。やけどに注意し、適温で使用しましょう。
- 使い捨てカイロ:患部に貼ることで、手軽に温めることができます。低温やけどに注意し、長時間同じ場所に貼らないようにしましょう。
8.1.2 冷却療法
冷却療法は、炎症を抑え、痛みを軽減する効果があります。急性期や炎症が強い場合は、冷却療法が有効です。
- 保冷剤:タオルに包んだ保冷剤を15~20分程度患部に当てます。凍傷を防ぐため、直接肌に当てないようにしましょう。
- 冷湿布:市販の冷湿布を使用するのも効果的です。使用上の注意をよく読んで使用しましょう。
8.2 肩の動きを改善するストレッチ
五十肩の肩関節の動きを改善するためには、無理のない範囲でストレッチを行うことが大切です。
痛みを感じない範囲で、ゆっくりと行いましょう。 以下にいくつかのストレッチを紹介します。
ストレッチ名 | 方法 | 注意点 |
振り子運動 | 体を前かがみにし、腕をだらりと下げて、前後に小さく振る。 | 痛みが出ない範囲で小さく振ること。 |
タオルを使ったストレッチ | タオルの両端を持ち、背中に回し、上下に動かす。 | 無理に腕を引っ張らないこと。 |
壁を使ったストレッチ | 壁に手をつけ、指を壁に沿って上に滑らせる。 | 痛みを感じたら無理をしないこと。 |
これらのストレッチ以外にも、理学療法士や治療家の指導のもと、自分に合ったストレッチを行うことが重要です。インターネットや書籍で紹介されているストレッチを自己流で行うと、症状を悪化させる可能性がありますので、専門家の指導を受けるようにしましょう。
8.3 日常生活での注意点
五十肩の症状を悪化させないためには、日常生活での注意点も重要です。重いものを持ったり、無理な姿勢を続けたりすることは避けましょう。
- 重い荷物を持つ:リュックサックなど両肩に均等に重さがかかるカバンを使用し、片方の肩だけに負担がかからないようにしましょう。
- 高い所の物を取る:無理に手を伸ばさず、台などを使いましょう。高いところに手を伸ばすと、肩に負担がかかり、痛みが増す可能性があります。
- 長時間同じ姿勢を続ける:デスクワークなど、長時間同じ姿勢を続ける場合は、こまめに休憩を取り、肩を回したり、ストレッチをするなどして、肩の筋肉をほぐしましょう。タイマーなどを活用し、1時間ごとに休憩を取るように心がけましょう。
- 寝るときの姿勢:横向きで寝るときは、患部を上にして寝ないようにしましょう。抱き枕などを使用し、肩への負担を軽減することも効果的です。仰向けで寝る場合は、腕の下にタオルなどを敷いて、肩をリラックスさせましょう。
五十肩は自然治癒することもありますが、適切な対処法を実践することで、痛みや動きの制限を軽減し、回復を早めることができます。
自己判断で対処せず、医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
9. まとめ
この記事では、五十肩の症状について、初期・中期・後期に分けて詳しく解説しました。
五十肩は、正式名称を肩関節周囲炎といい、中高年に多く発症する肩の痛みや運動制限を特徴とする疾患です。夜間痛や特定の動作での痛み、腕が上がらない、後ろに手が回らないといった症状が現れたら、五十肩の可能性があります。
初期は安静時痛や特定の動作での痛み、中期になると痛みの範囲が広がり日常生活に支障をきたし、後期では痛みは軽減するものの関節可動域制限が顕著になります。
五十肩の症状チェックリストを活用することで、ご自身の症状がどの段階にあるのかを把握しやすくなります。
ただし、自己判断は危険ですので、五十肩に似た症状を持つ頸椎症、腱板断裂、胸郭出口症候群などの疾患の可能性も考慮し、治療院を受診して適切な診断と治療を受けることが重要です。
五十肩と診断された場合は、温熱療法や冷却療法、ストレッチなどで痛みを和らげ、肩の動きを改善していくことが大切です。五十肩の症状理解と適切な対処の一助となれば幸いと思っております。
お困りの方は当院へご相談ください。
ゆるまる治療院
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