「四十肩」と「五十肩」、どちらも肩の痛みを表す言葉としてよく耳にしますが、実際には何が違うのでしょうか?
この記事では、四十肩と五十肩の違いを徹底的に比較し、それぞれの症状、原因、治療法、予防法まで分かりやすく解説します。
読めば、肩の痛みへの不安を解消し、適切な対処法を理解することができます。四十肩と五十肩は、発症年齢や自然治癒の可能性に違いがあるものの、医学的にはどちらも「肩関節周囲炎」と呼ばれ、根本的な原因は同じです。
肩関節周囲の組織の炎症や血行不良、加齢、運動不足、姿勢の悪さなどが原因で発症し、痛みの程度や期間には個人差があります。
効果的な治療法には、痛み止めや湿布などの保存療法、リハビリテーション、そして重症の場合には手術療法があります。
さらに、ストレッチや適度な運動、正しい姿勢の維持、冷え対策などの予防法を実践することで、四十肩や五十肩の発症リスクを軽減することが可能です。この記事を参考に、ご自身の症状に合った適切な対処法を見つけて、健康な肩を取り戻しましょう。
1. 四十肩と五十肩の違いを分かりやすく解説
「四十肩」「五十肩」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。どちらも肩の痛みや動かしにくさを伴う症状ですが、一体何が違うのでしょうか?
この章では、四十肩と五十肩の違いについて分かりやすく解説していきます。
1.1 そもそも四十肩・五十肩とは?
四十肩・五十肩の正式名称は肩関節周囲炎です。肩関節周囲の筋肉や腱、靭帯などの組織に炎症が起こり、肩の痛みや運動制限を引き起こす疾患です。
加齢とともに肩関節の柔軟性が低下していくことが原因の一つと考えられており、40代~50代に多く発症することから、四十肩・五十肩という俗称で呼ばれています。明確な定義はなく、原因も特定されていない部分が多いのも特徴です。
1.2 四十肩と五十肩、呼び方の違いだけ?何が違うの?
四十肩と五十肩は、医学的には同じ肩関節周囲炎です。呼び方が違うだけで、根本的な違いはありません。発症年齢が40代であれば四十肩、50代であれば五十肩と呼ばれます。
ただし、統計的に見ると若干の違いが見られる場合もあります。
1.2.1 発症年齢
名前の通り、四十肩は40代に、五十肩は50代に発症することが多いです。しかし、30代や60代で発症することもあります。
あくまで一般的な傾向であり、年齢だけで判断することはできません。
名称 | 一般的な発症年齢 |
四十肩 | 40代 |
五十肩 | 50代 |
1.2.2 症状の重さ
一般的に、五十肩の方が症状が重くなる傾向があると言われています。
これは、加齢とともに肩関節の組織がより劣化しやすくなっていることが関係していると考えられます。
しかし、個人差が大きく、四十肩でも重症化するケースもあれば、五十肩でも軽症で済むケースもあります。
1.2.3 自然治癒の可能性
四十肩・五十肩は、自然治癒する可能性のある疾患です。一般的には、1~2年で自然に痛みが軽減していくことが多いとされています。
しかし、適切な治療やリハビリテーションを行うことで、より早く症状を改善し、後遺症を残さずに治癒する可能性が高まります。
また、放置すると肩関節の拘縮(こうしゅく:関節が固まって動かなくなること)が進行し、日常生活に支障をきたす場合もあります。
そのため、少しでも違和感を感じたら、早めに医療機関を受診することが重要です。
自己判断で放置せず、専門家の適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
2. 四十肩と五十肩の症状を徹底比較
四十肩と五十肩は、肩関節周囲炎という同じ病気の俗称ですが、症状の経過には若干の違いが見られます。
ここでは、初期・中期・後期の段階別に症状を比較し、日常生活での不便な点についても詳しく解説します。
2.1 初期症状
2.1.1 四十肩の初期症状
四十肩の初期症状は、肩の鈍痛や違和感から始まります。特定の動作をした際に軽い痛みを感じる程度で、日常生活に大きな支障はない場合が多いです。
肩を動かすと少し痛む、肩が重だるい、といった症状が特徴です。夜間痛はまだ軽度であることが多いです。
2.1.2 五十肩の初期症状
五十肩も初期症状は四十肩と似ており、肩の鈍痛や違和感、肩の重だるさなどがあります。
四十肩と比較すると、初期段階から夜間痛が強い傾向があり、睡眠を妨げられることもあります。
また、痛みの進行が比較的早く、初期症状が数週間で中期症状に移行することもあります。
2.2 中期症状
2.2.1 四十肩の中期症状
四十肩の中期症状は、痛みが増強し、肩の可動域が著しく制限されます。腕を上げたり、後ろに回したりする動作が困難になり、日常生活に支障をきたすようになります。
特に、結帯動作(エプロンの紐を結ぶ、ブラジャーのホックを留めるなど)や、髪を洗う、高い所の物を取るといった動作が難しくなります。
夜間痛も激しくなり、睡眠不足に陥ることもあります。炎症が強いため、肩の腫れや熱感を感じることもあります。
2.2.2 五十肩の中期症状
五十肩の中期症状も四十肩と同様に、強い痛みと可動域制限が特徴です。
四十肩よりも痛みの程度が強く、可動域制限もより顕著になる場合が多いです。
夜間痛も激しく、日常生活に大きな支障をきたします。シャツを着替える、髪をとかすといった動作も困難になることがあります。
また、肩だけでなく、腕や手にも痛みやしびれが広がるケースも見られます。
2.3 後期症状
2.3.1 四十肩の後期症状
四十肩の後期症状では、徐々に痛みが軽減し、可動域も回復し始めます。日常生活動作も徐々にできるようになってきます。
しかし、完全に元の状態に戻るまでには時間がかかる場合があり、肩のこわばりや違和感などが残ることもあります。
無理に動かすと再発する可能性もあるため、注意が必要です。
2.3.2 五十肩の後期症状
五十肩の後期症状も四十肩と同様に、痛みは軽減し可動域も回復していきます。しかし、四十肩に比べて回復が遅く、可動域制限や痛みが残存するケースも少なくありません。
また、肩関節の拘縮(関節が固まって動かなくなる状態)が起こる可能性もあり、リハビリテーションが必要になることもあります。
日常生活動作の改善もゆっくりで、完全に元通りになるまでには時間を要します。
2.4 日常生活での不便な点
症状 | 日常生活での不便な点 |
痛み | 衣服の着脱、髪を洗う、入浴、睡眠時の寝返り、運転、デスクワーク、家事(料理、洗濯、掃除)、育児、スポーツ、趣味活動など、日常生活のあらゆる動作に支障が出る。 |
可動域制限 | 高い所の物を取る、後ろに手を回す、エプロンの紐を結ぶ、ブラジャーのホックを留める、髪をとかす、帯を締める、車の運転、電車のつり革につかまる、重い荷物を持つ、スポーツ、趣味活動など、日常生活の様々な動作が制限される。 |
夜間痛 | 寝返りができない、睡眠不足、疲労感、集中力の低下、精神的なストレスなど、生活の質に大きな影響を与える。 |
これらの症状は個人差があり、必ずしも全ての人が同じように経験するわけではありません。
また、四十肩と五十肩の症状の重さや期間にも個人差があります。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
3. 四十肩と五十肩の原因
四十肩と五十肩は、肩関節周囲の炎症や疼痛を伴う疾患ですが、その原因は単一ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
加齢に伴う変化や生活習慣、個々の体質なども影響するため、原因を特定することは難しい場合もあります。
以下に、主な原因と考えられているものを詳しく解説します。
3.1 加齢による影響
四十肩・五十肩は、その名前の通り40代~50代に多く発症します。これは、加齢に伴い肩関節周囲の組織が老化し、柔軟性や弾力性が低下することが大きく関係しています。
具体的には、腱や靭帯、関節包などの組織が硬くなり、滑らかに動かなくなることで炎症や痛みを引き起こしやすくなります。
3.2 肩関節周囲の組織の炎症
肩関節は、関節包や腱板、滑液包など様々な組織で構成されています。これらの組織に炎症が生じると、肩の痛みや可動域制限が起こります。
炎症の原因としては、使い過ぎや外傷、姿勢の悪さ、冷えなど様々なものが考えられます。
特に、棘上筋腱や棘下筋腱、小円筋腱、肩甲下筋腱で構成される腱板に炎症が起こる腱板炎は、四十肩・五十肩の主要な原因の一つです。
腱板炎は、加齢による腱の変性や血行不良、肩への過度な負担などが原因で発症しやすく、放置すると腱が断裂する可能性もあるため注意が必要です。
3.3 血行不良
肩関節周囲の血行が悪くなると、組織への酸素や栄養の供給が不足し、老廃物が蓄積しやすくなります。
これは、組織の修復を遅らせ、炎症を悪化させる要因となります。
デスクワークや長時間同じ姿勢での作業、冷え性などは、血行不良を招きやすく、四十肩・五十肩のリスクを高めます。
3.4 運動不足
適度な運動は、肩関節周囲の筋肉を強化し、柔軟性を維持するために重要です。運動不足になると、筋肉が衰え、関節の安定性が低下し、肩関節への負担が増加します。
また、血行不良も引き起こしやすくなるため、四十肩・五十肩を発症しやすくなります。
特に、肩甲骨周りの筋肉が弱化すると、肩関節の動きが悪くなり、炎症を起こしやすくなります。
3.5 姿勢の悪さ
猫背や巻き肩などの姿勢の悪さは、肩関節周囲の筋肉や靭帯に負担をかけ、血行不良を招きます。
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用などで姿勢が悪くなりがちな方は、四十肩・五十肩のリスクが高くなります。
正しい姿勢を意識することで、肩への負担を軽減し、四十肩・五十肩の予防に繋がります。
3.6 肩への過度な負担
重いものを持ち上げたり、腕を繰り返し使う作業など、肩に過度な負担がかかると、肩関節周囲の組織が損傷し、炎症を起こしやすくなります。
野球やテニス、バレーボールなどのスポーツや、重量挙げ、引っ越し作業なども、四十肩・五十肩の原因となることがあります。
特に、急激な動作や無理な姿勢での作業は、肩への負担が大きくなるため注意が必要です。
3.7 その他の要因
上記以外にも、四十肩・五十肩の原因として考えられる要因があります。
要因 | 詳細 |
糖尿病 | 糖尿病は、末梢神経障害や血管障害を引き起こし、肩関節周囲の組織への血流を阻害するため、四十肩・五十肩のリスクを高めると言われています。 |
甲状腺疾患 | 甲状腺機能低下症は、全身の代謝を低下させ、筋肉や関節の stiffness を増加させるため、四十肩・五十肩の症状を悪化させる可能性があります。 |
更年期障害 | 更年期障害によるホルモンバランスの変化は、自律神経の乱れを引き起こし、肩こりや痛みを悪化させることがあります。 |
ストレス | ストレスは、筋肉の緊張を高め、血行不良を招くため、四十肩・五十肩の症状を悪化させる要因となります。 |
遺伝的要因 | 家族に四十肩・五十肩になった人がいる場合、遺伝的に発症しやすい可能性も示唆されています。 |
これらの要因が単独または複数組み合わさって、四十肩・五十肩を発症すると考えられています。自身の生活習慣や身体の状態を把握し、適切な予防策を行うことが重要です。
4. 四十肩と五十肩の治療法
四十肩・五十肩の治療法は、大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があります。
ほとんどの場合は保存療法で改善しますが、症状が重い場合や保存療法で効果が見られない場合は手術療法が検討されます。
4.1 保存療法
保存療法は、肩関節への負担を軽減し、痛みや炎症を抑えることを目的とした治療法です。具体的には、以下のような方法があります。
4.1.1 痛み止め
痛み止めには、内服薬、外用薬、注射などがあります。
ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、痛みや炎症を抑える効果があり、初期の痛みが強い時期に用いられます。アセトアミノフェンはNSAIDsよりも胃腸への負担が少ないため、高齢者や胃腸の弱い方にも使用できます。
痛みが強い場合は、神経ブロック注射を行うこともあります。
4.1.2 湿布
湿布には、冷湿布と温湿布があります。炎症が強い急性期には冷湿布を使用し、慢性期には温湿布を使用します。湿布は痛みを和らげる効果がありますが、根本的な治療ではありません。
4.1.3 注射
注射には、ヒアルロン酸注射やステロイド注射などがあります。ヒアルロン酸注射は、関節の動きを滑らかにする効果があり、ステロイド注射は、炎症を抑える効果があります。注射は、他の保存療法で効果が見られない場合に検討されます。
4.1.4 リハビリテーション
リハビリテーションは、四十肩・五十肩の治療において最も重要な要素です。肩関節の可動域を改善し、筋力をつけることで、痛みを軽減し、日常生活の動作をスムーズに行えるようにします。理学療法士の指導のもと、ストレッチ、筋力トレーニング、関節モビライゼーションなどを行います。自宅でも継続して行うことが重要です。
リハビリテーションの種類 | 効果 | 注意点 |
ストレッチ | 肩関節周囲の筋肉の柔軟性を高め、可動域を広げる | 痛みを感じない範囲で行う |
筋力トレーニング | 肩関節周囲の筋肉を強化し、関節を安定させる | 無理のない負荷で行う |
関節モビライゼーション | 関節の動きを滑らかにする | 専門家による指導を受ける |
4.2 手術療法
手術療法は、保存療法で効果が見られない場合や、肩関節周囲の組織に著しい損傷がある場合に検討されます。具体的には、以下のような手術があります。
4.2.1 五十肩で手術が必要になるケース
五十肩で手術が必要になるケースは稀ですが、6ヶ月以上保存療法を続けても改善が見られない場合や、肩関節の拘縮が強く日常生活に支障が出ている場合などに検討されます。手術には、関節鏡手術や鏡視下手術などがあります。
- 関節鏡手術:小さな切開からカメラと器具を挿入し、関節内の癒着を剥離する手術です。傷が小さく、回復も早いのが特徴です。
- 鏡視下手術:関節鏡手術と同様に、小さな切開から手術を行う方法です。関節鏡手術よりも広い範囲を手術できるため、より複雑な症例にも対応できます。
手術療法は最終手段であり、手術のリスクや合併症についても十分に理解した上で、治療家と相談して決定することが重要です。
5. 四十肩と五十肩の予防法
四十肩・五十肩は、適切な予防策を実行することで発症リスクを軽減したり、症状の悪化を防いだりすることが可能です。加齢とともに発症リスクが高まるものの、年齢に関わらず今からできる予防を心がけましょう。
5.1 ストレッチ
肩関節周囲の筋肉や腱の柔軟性を維持することは、四十肩・五十肩の予防に非常に効果的です。毎日継続して行うことで、血行促進にも繋がり、肩こりの改善にも役立ちます。
5.1.1 効果的なストレッチ方法
- 肩甲骨回し:両手を肩に置き、肘で円を描くように前後にゆっくりと回します。肩甲骨を意識して動かすことがポイントです。
- 腕の振り子運動:体を前屈させ、リラックスした状態で腕を前後に、左右に、そして円を描くように振ります。重力に任せて腕を動かすことで、肩関節周囲の筋肉を優しく伸ばすことができます。
- タオルストレッチ:タオルの両端を持ち、頭の上を通して背中に回します。片方の手を上に、もう片方の手を下に引っ張り、肩の後ろを伸ばします。無理のない範囲で伸ばすことが大切です。
- 壁押し付けストレッチ:壁に手をついて、体を壁に押し付けるようにして胸や肩の前側を伸ばします。猫背気味の方にもおすすめのストレッチです。
これらのストレッチは、朝起きた時や入浴後など、体が温まっている時に行うのが効果的です。痛みを感じない範囲で、無理なく行いましょう。それぞれのストレッチを10回程度繰り返すのが目安です。
5.2 適度な運動
適度な運動は、肩関節周囲の筋肉を強化し、血行を促進する効果があります。ウォーキングや水泳など、全身運動を取り入れることで、肩への負担を軽減しながら、健康維持にも繋がります。
5.2.1 おすすめの運動
運動の種類 | 効果 | 注意点 |
ウォーキング | 全身の血行促進、筋力維持 | 正しい姿勢を意識する |
水泳 | 肩関節への負担が少ない、全身運動 | 水温に注意する |
ヨガ | 柔軟性向上、リラックス効果 | 無理なポーズは避ける |
ラジオ体操 | 全身のストレッチ、手軽にできる | 毎日継続して行う |
運動不足を感じている方は、まずは軽い運動から始め、徐々に強度や時間を増やしていくようにしましょう。激しい運動は逆効果になる場合があるので、自分の体力に合った運動を選ぶことが大切です。
5.3 正しい姿勢を保つ
猫背や巻き肩などの悪い姿勢は、肩関節周囲の筋肉に負担をかけ、四十肩・五十肩のリスクを高めます。日常生活の中で正しい姿勢を意識することで、予防に繋がります。
5.3.1 正しい姿勢のポイント
- 背筋を伸ばす:頭が体の中心にくるように意識し、背筋を伸ばします。
- 肩甲骨を寄せる:肩甲骨を背骨に寄せるように意識することで、胸が開きやすくなります。
- あごを引く:あごを軽く引くことで、首への負担を軽減できます。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続ける場合は、こまめに休憩を取り、軽いストレッチを行うように心がけましょう。正しい姿勢を保つことは、四十肩・五十肩の予防だけでなく、腰痛や肩こりの予防にも効果的です。
5.4 冷え対策
冷えは血行不良を招き、肩関節周囲の筋肉や腱が硬くなりやすくなります。特に冬場は、肩や首を冷やさないように注意が必要です。
5.4.1 効果的な冷え対策
- 温かい服装をする:マフラーやストールなどで首元を温め、肩を冷やさないようにしましょう。
- 入浴で体を温める:湯船に浸かって体を温めることで、血行が促進されます。38~40℃くらいのぬるめのお湯に15~20分程度浸かるのがおすすめです。
- カイロを使用する:肩や首にカイロを貼ることで、局所的に温めることができます。
- バランスの良い食事を摂る:生姜や根菜類など、体を温める効果のある食材を積極的に摂り入れましょう。
冷えは自覚しにくい場合もあるので、普段から体温調節を心がけ、体を冷やさないようにすることが大切です。特に、エアコンの効いた部屋では、羽織るものなどを用意しておくと良いでしょう。
6. 日常生活で気を付けること
四十肩・五十肩の痛みは、日常生活の様々な動作で悪化することがあります。症状を悪化させないためには、日常生活の中で以下の点に注意することが重要です。
6.1 痛みを悪化させないための注意点
痛みの出やすい動作を避けることはもちろんですが、日常生活の中で無意識に行っている動作が痛みを悪化させているケースも多いです。
例えば、重いものを持ち上げたり、高いところに手を伸ばしたり、急な動作をしたりすることは、肩関節に負担をかけ、炎症を悪化させる可能性があります。また、患部を冷やさないようにすることも大切です。冷えは血行不良を招き、肩の痛みを悪化させる可能性があります。
特に冬場は、マフラーやストールなどで肩周りを温めるように心がけましょう。反対に、炎症が強い時期は患部を温めすぎないように注意が必要です。温めすぎると炎症が悪化し、痛みが強くなることがあります。
入浴はぬるめのお湯にしましょう。
6.2 衣服の着脱
四十肩・五十肩になると、腕を上げる、後ろに回すといった動作が困難になり、衣服の着脱に苦労することがあります。
特に、シャツやセーターなどの上から着る服を着る際、腕を通す動作が痛むことがあります。このような場合は、患部側の腕から袖を通すようにすると、比較的スムーズに着脱できます。
また、前開きの服や、伸縮性のある素材の服を選ぶことも効果的です。着脱が困難な場合は、家族や介護者の assistance を受けることも検討しましょう。以下の表に、衣服の着脱をスムーズに行うためのコツをまとめました。
着るとき | 脱ぐとき |
患側の手から袖を通す | 健康な手から袖を抜く |
前開きの服を選ぶ | 前開きの服を選ぶ |
伸縮性のある素材の服を選ぶ | 伸縮性のある素材の服を選ぶ |
ボタンやファスナーの少ない服を選ぶ | ボタンやファスナーの少ない服を選ぶ |
着脱補助具を使用する | 着脱補助具を使用する |
6.3 睡眠時の姿勢
睡眠時の姿勢も、四十肩・五十肩の痛みに大きく影響します。
患部を圧迫しないような姿勢で寝るように心がけましょう。横向きで寝る場合は、抱き枕を使用したり、タオルなどを挟むことで、患部への負担を軽減することができます。
仰向けで寝る場合は、腕の下にクッションやタオルを敷くと、肩関節がリラックスした状態を保てます。痛みが強い場合は、リクライニングチェアなどで寝ると楽な場合もあります。
自分に合った寝姿勢を見つけることが大切です。以下の表に、睡眠時の姿勢のポイントをまとめました。
姿勢 | ポイント |
横向き | 抱き枕やタオルを使用し、患部を圧迫しないようにする |
仰向け | 腕の下にクッションやタオルを敷き、肩関節をリラックスさせる |
6.4 入浴時の注意点
入浴は、血行を促進し、肩の筋肉をリラックスさせる効果があるため、四十肩・五十肩の症状緩和に役立ちます。
しかし、お湯の温度が高すぎると炎症を悪化させる可能性があるため、38~40度程度のぬるめのお湯にしましょう。また、長時間入浴することも避け、10~15分程度を目安にしましょう。
患部をゴシゴシこすったり、無理に動かしたりするのも禁物です。シャワーを患部に当てて温めるのも効果的ですが、熱すぎないように注意しましょう。
石鹸やシャンプーを使用する際は、手が届きにくい場合は柄の長いスポンジやブラシを使用するなど、工夫してみましょう。
7. 医療機関の選び方
四十肩・五十肩の治療で医療機関を受診する際に、どの医療機関を選べば良いか迷う方もいるかもしれません。
症状の程度や生活への影響、治療方針の希望などを考慮して、最適な医療機関を選びましょう。
7.1 整形外科
整形外科は、 musculoskeletal system(筋骨格系)の疾患を専門的に扱う診療科です。
四十肩・五十肩は肩関節周囲の炎症や損傷が原因となるため、まずは整形外科を受診するのが一般的です。レントゲン検査やMRI検査などで正確な診断を行い、適切な治療方針を決定します。
多くの整形外科では、保存療法(薬物療法、リハビリテーションなど)を中心に治療が行われます。
7.2 リハビリテーション科
リハビリテーション科は、身体機能の回復を目的としたリハビリテーションを提供する診療科です。
四十肩・五十肩の治療においても、リハビリテーションは重要な役割を担います。
整形外科で診断を受けた後、リハビリテーション科で集中的にリハビリテーションを受けることで、肩関節の可動域の改善や痛みの軽減を目指します。理学療法士などの専門家が、個々の症状に合わせた運動プログラムを作成し、指導を行います。
7.3 専門の知識を持った治療家のいる治療院
肩関節疾患の専門の治療院は、より専門的な知識と技術に基づいた診断・治療を受けることができます。
一般的な整形外科では対応が難しい複雑な症例などは、専門医のいる治療院への受診を検討しましょう。
7.4 医療機関を選ぶ際のポイント
医療機関を選ぶ際には、以下のポイントを参考にしてください。
ポイント | 詳細 |
診療時間 | 自分のライフスタイルに合った診療時間かどうかを確認しましょう。平日の夜間や土曜日・日曜日も診療している医療機関もあります。 |
アクセス | 自宅や職場から通いやすい場所にある医療機関を選びましょう。 |
設備 | MRIやレントゲンなどの検査設備が整っているか確認しましょう。リハビリテーション科がある場合は、リハビリテーション設備の内容も確認しておくと良いでしょう。 |
治療家の対応 | 治療家の説明が分かりやすく、丁寧な対応をしてくれるかどうかも重要なポイントです。セカンドオピニオンを求めることも可能です。 |
口コミ・評判 | インターネット上の口コミや評判を参考にするのも一つの方法です。ただし、個人の主観的な意見であることを理解した上で参考にするようにしましょう。 |
費用 | 保険診療の範囲内であれば、医療機関によって費用が大きく異なることはありません。ただし、自由診療となる治療法や、特別な検査などを受ける場合は、事前に費用を確認しておきましょう。 |
適切な医療機関選びは、四十肩・五十肩の早期回復に繋がります。上記の情報やポイントを参考に、ご自身に合った医療機関を見つけて、適切な治療を受けてください。
8. まとめ
この記事では、四十肩と五十肩の違いについて、症状、原因、治療法、予防法などを中心に詳しく解説しました。
結論として、四十肩と五十肩は医学的には同じ「肩関節周囲炎」であり、呼び方が異なるだけです。
発症年齢に違いがあるものの、症状の重さや自然治癒の可能性に大きな差はありません。五十肩の方が加齢による影響が大きいため、回復に時間がかかる場合もあるという程度です。
肩の痛みや動かしにくさを感じたら、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
整形外科やリハビリテーション科などで適切な診断と治療を受けることが大切です。早期に治療を開始することで、症状の悪化を防ぎ、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。
また、日頃からストレッチや適度な運動を行い、正しい姿勢を保つことで、四十肩・五十肩の予防に繋がります。肩に負担をかけすぎないよう注意し、違和感を感じたら早めに休息をとることも重要です。
四十肩・五十肩でお悩みの方は当院にご相談ください。
ゆるまる治療院
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