夜も眠れないほど辛い五十肩の痛み、どうすればいいのでしょうか?
このページでは、その悩みに寄り添い、効果的な対処法を詳しく解説します。五十肩の原因や症状、痛みのメカニズムを理解することで、適切な対策を取ることが可能になります。
特に、市販薬のロキソニンの効果的な使い方、副作用や併用禁忌薬など、服用する上での注意点まで網羅的に解説。
ロキソニン以外にも、五十肩におすすめの市販薬(飲み薬、湿布薬)もご紹介します。さらに、自宅でできるストレッチ、温熱療法、冷却療法などのセルフケアも紹介しているので、今すぐできる痛み緩和策を見つけることができます。
五十肩の治療法についても、保存療法や手術療法など、それぞれのメリット・デメリットを分かりやすく説明。
医療機関を受診する目安も提示することで、適切な医療機関へのアクセスをサポートします。この記事を読めば、五十肩の痛みを効果的に管理し、快適な日常生活を取り戻すための具体的な方法が分かります。
1. 五十肩とは?
五十肩は、正式には肩関節周囲炎と呼ばれ、肩関節とその周囲の組織に炎症や痛みを生じる疾患です。
40代から50代に多く発症することから「五十肩」と呼ばれていますが、実際には30代や60代以降でも発症する可能性があります。明確な原因が特定できない場合も多く、一次性肩関節周囲炎と呼ばれます。
一方、外傷や骨折、腱板断裂などが原因で発症する場合は二次性肩関節周囲炎と呼ばれます。加齢に伴う肩関節周囲の組織の老化や、肩関節の運動不足、不良姿勢、過度な運動などが発症に関与すると考えられています。
痛みの程度や期間には個人差があり、数ヶ月から数年続く場合もあります。自然に治癒することもありますが、適切な治療を行うことで痛みの軽減や早期回復が期待できます。
1.1 五十肩の症状
五十肩の主な症状は肩の痛みと運動制限です。痛みは安静時にも感じられる場合があり、特に夜間や明け方に強くなる傾向があります。また、腕を上げたり、後ろに回したりする動作が困難になります。症状の進行には段階があり、初期、中期、後期に分けられます。
段階 | 期間 | 主な症状 |
初期(炎症期) | 約2週間~3ヶ月 | 安静時にもズキズキとした強い痛み、特に夜間や明け方に痛みが激しくなる。肩を動かすと激痛が走る。 |
中期(凍結期) | 約4ヶ月~6ヶ月 | 強い痛みは軽減するが、肩関節の動きが制限され、腕を上げたり回したりすることが困難になる。 |
後期(回復期) | 約6ヶ月~2年 | 徐々に痛みと運動制限が改善していく。 |
1.2 五十肩の原因
五十肩の明確な原因は解明されていませんが、加齢に伴う肩関節周囲の組織の変性や炎症が主な原因と考えられています。その他にも、以下の要因が関与している可能性があります。
- 肩関節の運動不足: デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けることで、肩関節周囲の筋肉が硬くなり、血行不良を起こしやすくなります。
- 不良姿勢: 猫背や巻き肩などの不良姿勢は、肩関節に負担をかけ、炎症を引き起こす可能性があります。
- 過度な運動: 野球やテニスなどのスポーツで肩関節を酷使することで、炎症や損傷が生じることがあります。
- 糖尿病: 糖尿病は、血管や神経に障害を与え、五十肩のリスクを高める可能性があります。
- 甲状腺疾患: 甲状腺機能低下症は、五十肩の発症リスクを高める可能性があります。
- 外傷や骨折: 肩関節への外傷や骨折が原因で、二次性の五十肩を発症することがあります。
1.3 五十肩になりやすい人の特徴
五十肩になりやすい人の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 40代~50代の人: 加齢に伴う肩関節周囲の組織の変性が原因となるため、この年代に最も多く発症します。
- 女性: 男性に比べて女性の方が発症しやすい傾向があります。ホルモンバランスの変化などが影響している可能性が考えられています。
- デスクワークが多い人: 長時間同じ姿勢を続けることで、肩関節周囲の筋肉が硬くなり、血行不良を起こしやすくなります。
- 運動不足の人: 適度な運動は肩関節周囲の筋肉を強化し、柔軟性を保つために重要です。運動不足の人は五十肩になりやすい傾向があります。
- 糖尿病、甲状腺疾患などの持病がある人: これらの疾患は五十肩の発症リスクを高める可能性があります。
- 過去に肩を怪我したことがある人: 外傷や骨折が原因で、二次性の五十肩を発症することがあります。
2. 夜も眠れないほどの五十肩の痛み
五十肩の痛みは、特に夜間や安静時に悪化することが多く、睡眠不足や日常生活への支障をきたす深刻な問題です。
安静時痛、夜間痛などは五十肩の代表的な症状であり、多くの患者さんが悩まされています。この痛みは、肩関節の炎症や周囲の組織の緊張、血行不良などが原因で引き起こされると考えられています。
また、夜間は副交感神経が優位になり、痛みを感じやすくなることも、夜間の痛みが強くなる一因です。
2.1 痛みのメカニズム
五十肩の痛みは、肩関節周囲の炎症や組織の損傷、筋肉の緊張、血行不良など、複数の要因が複雑に絡み合って引き起こされます。
炎症が起きると、炎症物質であるブラジキニンやプロスタグランジンなどが放出され、これが神経を刺激して痛みを生じさせます。また、肩関節の動きが悪くなることで、周囲の筋肉が緊張し、さらに痛みが増強される悪循環に陥ります。
特に、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋といった回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる筋肉群の炎症や損傷は、五十肩の痛みに大きく関わっています。さらに、肩峰下滑液包炎なども痛みの原因となることがあります。
2.2 夜間に痛みが悪化する理由
五十肩の痛みが夜間に悪化する理由はいくつか考えられます。一つは、夜間は副交感神経が優位になり、身体がリラックスする一方、痛みを感じやすくなるためです。日中は交感神経が優位になり、痛みを抑制する作用が働くため、痛みが感じにくくなります。
しかし、夜間は副交感神経が優位になることで、この抑制が弱まり、痛みを感じやすくなります。また、横になった姿勢では肩関節への圧迫が増加し、炎症や痛みを悪化させる可能性があります。
さらに、夜間は体温が低下し、血行が悪くなることも痛みの増悪につながります。血行不良は、肩関節周囲の筋肉や組織への酸素供給を減少させ、炎症を促進し、痛みを強める原因となります。
加えて、日中の活動で肩関節に負担がかかり、夜間に炎症が強まることもあります。そして、睡眠不足や精神的なストレスも痛みを悪化させる要因となります。睡眠不足は、身体の回復力を低下させ、痛みを感じやすくします。
また、ストレスは交感神経を緊張させ、筋肉の緊張を高め、痛みを悪化させる可能性があります。
要因 | 詳細 |
副交感神経の優位 | リラックスする一方、痛みを感じやすくなる |
肩関節への圧迫 | 横になった姿勢で圧迫が増加し、炎症や痛みを悪化させる |
体温の低下と血行不良 | 酸素供給の減少により炎症を促進し、痛みを強める |
日中の活動による負担 | 夜間に炎症が強まる |
睡眠不足とストレス | 身体の回復力低下、交感神経の緊張、筋肉の緊張を高め、痛みを悪化させる |
3. ロキソニンの効果と五十肩への効き目
五十肩の痛みは、夜間や安静時にも続くことが多く、日常生活に大きな支障をきたします。
そこで、痛みを緩和するためにロキソニンなどの鎮痛薬が用いられることがあります。
この章では、ロキソニンの効果と五十肩への効き目、そして服用時の注意点について詳しく解説します。
3.1 ロキソニンの作用機序
ロキソニンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる薬の一種で、プロスタグランジンという物質の生成を抑えることで、炎症や痛みを抑制する効果があります。
プロスタグランジンは、炎症反応や痛みを引き起こす物質であり、ロキソニンはこの生成を阻害することで、五十肩の炎症や痛みを和らげます。具体的には、ロキソニンはシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の働きを阻害することでプロスタグランジンの生成を抑えます。
COXにはCOX-1とCOX-2の2種類があり、ロキソニンは主にCOX-1を阻害することで効果を発揮します。
3.2 五十肩への効果的な使い方
ロキソニンは、五十肩の痛みを緩和する効果が期待できますが、根本的な治療薬ではありません。
あくまで痛みを一時的に抑えるための対症療法薬であることを理解しておく必要があります。効果的な使い方としては、痛みが強い時に用法・用量を守って服用することが重要です。
一般的には、1回1錠、1日3回までを限度として服用します。また、空腹時の服用は胃腸への負担が大きいため、食後や胃薬と一緒に服用することが推奨されます。
痛みが強い場合は、医師の指示に従って増量することもありますが、自己判断で服用量を増やすことは避けましょう。痛みが治まったら服用を中止し、漫然と服用し続けないように注意が必要です。
3.3 ロキソニン服用時の注意点
ロキソニンは市販薬としても入手しやすい薬ですが、副作用や併用禁忌薬があるため、服用時には注意が必要です。主な注意点としては以下の点が挙げられます。
3.3.1 副作用
ロキソニンは比較的安全な薬ですが、副作用が現れる場合があります。主な副作用としては、胃痛、吐き気、下痢、便秘、発疹、かゆみ、眠気などが挙げられます。
また、まれにですが、重篤な副作用として、消化管出血、肝機能障害、腎機能障害などが起こる可能性があります。これらの症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、医師に相談してください。
副作用 | 症状 |
胃腸障害 | 胃痛、吐き気、嘔吐、下痢、便秘など |
皮膚症状 | 発疹、かゆみ、じんましんなど |
肝機能障害 | 倦怠感、黄疸など |
腎機能障害 | 尿量の減少、むくみなど |
血液障害 | 貧血、出血傾向など |
3.3.2 併用禁忌薬
ロキソニンは、特定の薬と併用すると、薬の効果が強まったり弱まったりするだけでなく、副作用のリスクが高まる可能性があります。
併用禁忌薬としては、他のNSAIDs、抗凝固薬、抗血小板薬、利尿薬、一部の抗うつ薬などが挙げられます。
他の薬を服用している場合は、医師や薬剤師に相談してからロキソニンを服用するようにしてください。
特に、ワーファリンなどの抗凝固薬を服用している場合は、ロキソニンとの併用により出血リスクが高まるため、注意が必要です。
また、低用量アスピリンを服用している場合も、ロキソニンの効果を弱める可能性があるため、併用は避けるべきです。他のNSAIDsとの併用も、副作用のリスクを高めるため、避けるべきです。
4. ロキソニン以外の五十肩におすすめの市販薬
ロキソニンは有効な鎮痛剤ですが、体質や症状によっては他の市販薬の方が適している場合もあります。ここでは、ロキソニン以外の五十肩におすすめの市販薬を、飲み薬と湿布薬に分けてご紹介します。
4.1 飲み薬
五十肩の痛みには、様々な作用機序を持つ飲み薬が効果的です。ここでは、痛み止めと抗炎症薬について解説します。
4.1.1 痛み止め
アセトアミノフェンを主成分とする痛み止めは、比較的副作用が少なく、胃腸への負担も軽いため、まず第一に選択されることが多い薬です。タイレノールAやノーシンなどが代表的な市販薬です。
これらの薬は、痛みや発熱を抑える効果がありますが、炎症を抑える効果は期待できません。痛みが強い場合は、イブプロフェンを主成分とするイブA錠やリングルアイビーなども有効です。
イブプロフェンは、痛みや発熱を抑えるだけでなく、抗炎症作用も持ち合わせています。
4.1.2 抗炎症薬
五十肩の炎症を抑えるには、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が有効です。ロキソプロフェンナトリウムを主成分とするロキソニンS以外にも、イブプロフェンを主成分とする薬や、ナプロキセンを主成分とするナロンエースなどがあります。
これらの薬は、痛みや炎症を抑える効果が高い一方、胃腸障害などの副作用が現れる可能性があるため、用法・用量を守って服用することが重要です。また、アスピリン喘息のある方は、NSAIDsの使用を避ける必要があります。
痛みや炎症が強い場合は、これらの市販薬ではなく、医療機関を受診し、より強力な処方薬を検討する必要があるかもしれません。
成分 | 商品例 | 特徴 | 注意点 |
アセトアミノフェン | タイレノールA、ノーシン | 胃に優しい、副作用が少ない | 抗炎症作用はない |
イブプロフェン | イブA錠、リングルアイビー | 痛み止め、解熱、抗炎症作用 | 胃腸障害の可能性あり |
ナプロキセン | ナロンエース | 鎮痛、抗炎症作用が比較的長く持続 | 胃腸障害の可能性あり |
ロキソプロフェンナトリウム | ロキソニンS | 強力な鎮痛、抗炎症作用 | 胃腸障害の可能性あり、空腹時服用は避ける |
4.2 湿布薬
五十肩の痛みに対しては、飲み薬だけでなく、湿布薬も効果的です。湿布薬には、冷感タイプと温感タイプがあり、症状に合わせて使い分けることが重要です。
炎症が強い急性期には、冷感タイプの湿布薬を使用することで、炎症を抑え、痛みを和らげることができます。慢性期には、温感タイプの湿布薬を使用することで、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげることができます。
インドメタシンやフェルビナクなどの成分を含む湿布薬は、強力な鎮痛・抗炎症作用があります。サリチル酸メチルを含む湿布薬は、消炎鎮痛作用に加えて、血行促進作用も期待できます。
l-メントールを含む湿布薬は、冷感作用により痛みを和らげます。カプサイシンを含む湿布薬は、温感作用により血行を促進し、痛みを和らげます。
成分 | 商品例 | 特徴 |
インドメタシン | インテバン、ゼノール | 強力な鎮痛・抗炎症作用 |
フェルビナク | フェイタス | 強力な鎮痛・抗炎症作用 |
サリチル酸メチル | サロンパス | 消炎鎮痛、血行促進作用 |
l-メントール | モーラステープL | 冷感作用による鎮痛効果 |
カプサイシン | ホットパッチ | 温感作用による血行促進、鎮痛効果 |
湿布薬を使用する際には、用法・用量を守り、同じ場所に長時間貼り続けないように注意しましょう。また、皮膚にかぶれや赤みなどの症状が現れた場合は、使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
特に、持病のある方や妊娠中の方は、使用する前に医師または薬剤師に相談することをおすすめします。
5. 五十肩の痛みを和らげるセルフケア
五十肩の痛みを和らげるためには、セルフケアが重要です。適切なセルフケアを行うことで、症状の悪化を防ぎ、回復を早めることができます。
ただし、痛みが強い場合や症状が悪化する場合は、自己判断せず、医療機関を受診しましょう。
5.1 ストレッチ
五十肩の痛みを和らげるためには、肩関節周囲の筋肉を柔らかく保つことが大切です。無理のない範囲で、以下のストレッチを行いましょう。痛みを感じたらすぐに中止してください。
5.1.1 振り子運動
身体を前かがみにし、腕をだらりと下げた状態で、前後に小さく振ります。徐々に円を描くように大きく振っていきます。
5.1.2 タオルを使ったストレッチ
タオルの両端を持ち、背中に回し、上下に動かします。肩甲骨を動かすように意識しましょう。
5.1.3 壁を使ったストレッチ
壁に手をつけ、指を壁に沿って上に動かしていきます。痛みのない範囲でできるだけ高くまで手を伸ばしましょう。
ストレッチの種類 | 効果 | 注意点 |
振り子運動 | 肩関節の可動域を広げる | 勢いをつけすぎない |
タオルを使ったストレッチ | 肩甲骨の動きを改善する | タオルを強く引っ張りすぎない |
壁を使ったストレッチ | 肩関節の柔軟性を高める | 痛みを感じたらすぐに中止する |
5.2 温熱療法
温熱療法は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。温罨法や入浴などが効果的です。
5.2.1 温罨法
蒸しタオルやホットパックを患部に当てます。低温やけどに注意しましょう。
5.2.2 入浴
ぬるめのお湯にゆっくりと浸かり、身体を温めます。熱いお湯は避けましょう。
5.3 冷却療法
炎症が強い場合は、冷却療法が効果的です。アイスパックや保冷剤をタオルで包み、患部に当てます。15~20分程度を目安に、冷やしすぎに注意しましょう。
療法 | 効果 | 注意点 |
温熱療法 | 血行促進、筋肉の緊張緩和 | 炎症が強い場合は避ける、低温やけどに注意 |
冷却療法 | 炎症を抑える、痛みを軽減する | 冷やしすぎに注意 |
これらのセルフケアは、五十肩の痛みを和らげる効果がありますが、すべての人に効果があるとは限りません。
症状が改善しない場合や悪化する場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
6. 五十肩の治療法
五十肩の治療は、症状の程度や経過時間、患者の年齢や生活状況などを考慮して決定されます。
基本的には保存療法が中心となりますが、症状が改善しない場合や日常生活に支障をきたす場合は、手術療法が検討されることもあります。
6.1 保存療法
保存療法は、痛みを軽減し、肩関節の動きを改善することを目的とした治療法です。主な方法には以下のものがあります。
6.1.1 薬物療法
痛みや炎症を抑えるために、次のような薬物が使用されます。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):ロキソニン、ボルタレン、イブプロフェンなど炎症や痛みを抑える効果があります。
- アセトアミノフェン:カロナールなど解熱鎮痛作用があります。NSAIDsよりも胃腸への負担が少ないとされています。
- ステロイド薬:プレドニゾロンなど強力な抗炎症作用がありますが、長期使用には注意が必要です。注射による投与が一般的です。
- ヒアルロン酸ナトリウム:アルツなど関節内の滑液の粘性を高め、関節の動きを滑らかにする効果があります。注射によって関節内に投与します。
6.1.2 理学療法
肩関節の可動域を改善し、筋力をつけるための運動療法を行います。理学療法士の指導のもと、ストレッチ、筋力トレーニング、温熱療法、電気療法などを行います。
療法の種類 | 効果 | 注意点 |
ストレッチ | 肩関節の柔軟性を高め、可動域を広げる | 痛みを感じない範囲で行う |
筋力トレーニング | 肩周りの筋肉を強化し、関節を安定させる | 適切な負荷で行う |
温熱療法 | 血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる | 低温やけどに注意 |
電気療法 | 痛みを軽減し、筋肉の緊張を和らげる | 体質によっては合わない場合もある |
6.1.3 装具療法
肩関節を安静に保ち、痛みを軽減するために、サポーターや三角巾などの装具を使用することがあります。
6.1.4 注射療法
炎症や痛みを抑えるために、肩関節に直接薬剤を注射する方法です。ステロイド注射やヒアルロン酸ナトリウム注射などが行われます。
6.2 手術療法
保存療法で効果が得られない場合や、日常生活に支障をきたすほどの痛みが続く場合は、手術療法が検討されます。主な手術方法には以下のものがあります。
6.2.1 関節鏡視下手術
関節内に小さなカメラを挿入し、関節内の状態を確認しながら手術を行います。傷口が小さく、術後の回復も早いのが特徴です。関節包の切開や癒着の剥離などを行います。
6.2.2 人工関節置換術
損傷が激しい場合、人工関節に置き換える手術を行います。肩関節の機能を回復させることができますが、大掛かりな手術となるため、慎重に検討する必要があります。
五十肩の治療法は多岐に渡り、患者さんの状態によって最適な方法が異なります。自己判断で治療を行うのではなく、医療機関を受診し、医師の診断に基づいた適切な治療を受けることが重要です。
7. 医療機関を受診する目安
五十肩の痛みは自然に軽快することもありますが、適切な治療を受けずに放置すると、痛みが慢性化したり、肩関節の可動域制限が永続的に残ってしまう可能性があります。自己判断で治療を遅らせることなく、以下の症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
7.1 日常生活に支障が出るほどの痛み
安静時や夜間にも強い痛みがあり、睡眠不足に陥っている場合は、医療機関を受診する目安となります。日常生活動作、例えば着替えや髪を洗う、高いところに手が届かないなど、簡単な動作でさえも痛みのために行えない場合も、専門医の診察が必要です。
7.2 痛みが長引く場合
ロキソニンなどの市販薬を服用しても痛みが1週間以上続く場合、あるいは痛みが改善しないばかりか悪化していく場合は、医療機関への受診を検討しましょう。初期段階での適切な治療は、症状の悪化を防ぎ、早期回復に繋がります。
7.3 肩の可動域制限が著しい
腕が上がらない、背中に手が回らないなど、肩関節の動きが明らかに制限されている場合は、五十肩の可能性が高いです。放置すると関節が硬くなってしまい、可動域制限が固定化してしまう恐れがあります。早めの受診で適切な治療とリハビリテーションを受けることが重要です。
7.4 しびれや脱力感がある
肩の痛みだけでなく、腕や手のしびれ、脱力感を伴う場合は、頸椎椎間板ヘルニアなどの他の疾患が隠れている可能性も考えられます。自己判断せず、速やかに医療機関を受診し、精密検査を受けましょう。
7.5 発熱を伴う
肩の痛みと同時に発熱がある場合は、感染症や他の重篤な疾患の可能性も否定できません。自己判断は危険ですので、速やかに医療機関を受診しましょう。
7.6 その他
上記以外にも、痛みが急に強くなった、肩以外の部位にも痛みやしびれが広がっている、転倒などによる外傷がきっかけで痛みが発生したなど、気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関医に相談することをお勧めします。
症状 | 受診目安 |
日常生活に支障が出るほどの痛み | 安静時や夜間の強い痛み、簡単な動作でも痛みが出る場合 |
痛みが長引く | 1週間以上痛みが続く、痛みが悪化する |
肩の可動域制限 | 腕が上がらない、背中に手が回らない |
しびれや脱力感 | 腕や手のしびれ、脱力感がある |
発熱 | 肩の痛みと同時に発熱がある |
その他 | 痛みが急に強くなった、他の部位にも症状が広がる、外傷がきっかけ |
早期診断と適切な治療は、五十肩の予後を大きく左右します。少しでも不安を感じたら、ためらわずに医療機関を受診し、専門医のアドバイスを受けましょう。
8. まとめ
五十肩は、中高年に多く発症する肩関節周囲炎です。
夜も眠れないほどの激しい痛みを伴う場合があり、日常生活に大きな支障をきたします。この記事では、五十肩の症状や原因、痛みのメカニズムを解説し、効果的な対処法を紹介しました。
痛みを抑える方法として、ロキソニンの効果的な使い方や注意点、併用禁忌薬、そしてロキソニン以外の市販薬(痛み止め、抗炎症薬、湿布薬など)についても詳しく説明しました。セルフケアとして、ストレッチ、温熱療法、冷却療法なども有効です。
五十肩の治療法には保存療法と手術療法がありますが、症状が重い場合や長引く場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
五十肩は自然治癒することもありますが、適切な治療とセルフケアを行うことで、痛みを軽減し、早期回復を目指せます。
ご相談は当院でも受け付けております。お待ちしております。
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